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エンジニアの誇り

 

雪が降り積もる季節を迎え、皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 

私は、昨年のお休みは、コロナ緊急事態宣言などもあり、自宅で【断捨離】

 

に明け暮れました。

 

 

クローゼットを片づけていると、以前勤めていた船舶機関士時代の

 

制服が出てきました。(実は、私は、外国航路の貨物船、タンカー、

 

自動車専用船、コンテナ船、LPG船などに 15年間乗船し、

 

その後、7年間は、外国航路の豪華?客船の一等機関士や機関長を

 

していました。

 

世界を10周以上したかな・・・修羅場も何回かありました・・・)

 

 

写真は、その時の制服です。

 

 

 

 

 

船には、世界共通の厳しいルールと決まり事があります。 まず、袖章の金線は、

 

船舶士官(海技免許取得者)しかつけることができません。

 

例えば、1本線は:三等航海士、三等機関士、三等通信士、事務員 などです。

 

    2本線は:二等航海士、二等機関士、二等通信士

 

    3本線は:一等航海士、一等機関士、通信長、事務長、ドクター 

 

    となります。

 

    ここで、4本の金線を巻けるのは、船長と機関長だけとなります。

 

 

   写真をよく見ると、金線の間に紫(バイオレット)の色がついていますよね。

 

 

 

 

 

これが、エンジニアの誇りなのです!

 

ちなみに、航海士は色なし。通信士は、緑(陸地との交信という事で、ミドリの大地)

 

     事務員は、白(紙、ノートの白)、

 

     ドクターは、そうです、血液の赤です。

 

     では、なぜ機関士は紫なのか・・・?オイルの色?? 

 

     いやいや、違うのです。

 

 

 

話は遠くさかのぼって、約100年前・・・。

 

 

 

1912年4月14日に、当時の最新豪華客船:タイタニック号は、処女航海の北大西洋

 

において氷山と衝突し沈没したことは、映画などでご存じですよね。

 

でも一瞬ですが、その映画を見ると、機関長の腕章には色がついていません。

 

実は、この海難事故以降に、エンジニアたちは、紫の色を付けることとなったのです。

 

その理由は、船というのは、推進のエンジンが停止しても発電機さえ運転していれば

 

生きた船として存在します。発電機が止まると、【ブラックアウト】といって、船の

 

全ての機能が失われ、それは【デッドシップ(死んだ船)】となるのです。

 

当時のタイタニック号の機関士たちは、船が沈没することをわかっていながら、

 

お客様の安心のために船の底のエンジンルームに入り、最後まで発電機のハンドルを

 

握り続けました。そして、そのまま、船と一緒に海底に・・・・・。

 

 

 

 この話を、当時のイギリスのジョージ5世がお聞きになり、エンジニアの勇気ある行動

 

と忠実な職務姿勢を高く評価し、その証として当時のイギリスのロイヤルカラーである

 

バイオレットを、以降のエンジニアに与えたのです!

 

 

今、私は、中田エンジンでエンジニアリング関連の仕事に携わっていますが、

 

 陸に上がってもこのエンジニアの誇りは持ち続けようと思っています。

 

 

断捨離からのひと冬の思いでした。   

 

                                浜松工場 T.U.

2022/1/26

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